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そこは混沌のような闇だった。
ただただ――何も無いようなまっさらな暗黒――。
だが誰も居ないはずのその暗黒の中からふと、声のようなものがするのだった――。
――――どこにいるの?
小さな影が暗闇の中でうごめくように動いた。問い掛けるそのか細くて美しく高い声は、まるで幼い少女の様でした。
――――貴方はどこにいるの?
――どこにいるの?
――どこにいるの?
――ドコニイルノ?
声はずっと、何も無い闇に問い続けた。
闇にうごめく小さな体――は、まだ幼い少女だった。しかも幼女のような少女は、あどけない顔とは裏腹に恐怖と絶望に満ちたような表情を浮かべていた。まるで目隠しされた状態で物にすがるかのように、小さな影はおぼつかない歩き方をしながらも、その深い深い闇をふらふらと歩み続けていく―。
貴方は何処にいるの?
どうしても貴方でなくてはいけないのです!
どうか私を・・
幼い声はうめくように嘆いた。
ああどうして…
どうしてこんなことになってしまったのかしら―?
己の罪を捧げるように、小さな手はどこまでも続く真っ暗な天を仰いだ。
そしてポツリと、その天まで続いていそうな漆黒の闇に向かって、願うように言葉を放った。
「私を救うことができるのは あなただけなのです――!」
―――と。
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